悲しい出来事があった翌日には、嬉しい出来事があったりするわけで。かねてよりの約束を、一つ果たすことが出来た。
Linkにある、『緑色の風』の管理人さんであるところの、Lydia在住殴りHighPri、稀唯さんとの狩りだ。稀唯さんの相方さんは両手AgiLK。俺は両手Agi騎士。良くも悪くも、無意識に比較されるであろうと、思っていた。気合は十分、だが、約束を交わしたその日から、俺は、腕を。剣を、磨くことができたろうか。答えは否。何も出来なかった……。
行き先を話し合い、ニブルへ行くことが決まり。狩場について、戦闘を開始して数分……。どうしても気になることが、一つ。
俺より稀唯さんの方が与Dmgが2~3段階ぐらい高い、という事実……。改めて思えば、ステータスや装備から考えれば一目瞭然なわけで。俺はStrがJob等の補正と被Bless込みで90。対する稀唯さんは110。俺の武器は+7DTi2HSなのに対し、稀唯さんの武器は+10THdチェイン。更に、稀唯さんはThe signまで装備しているのだ。単発の与Dmgを競っても敵うはずがない……。しかし、俺にはAspdがある……ッ。フル支援+狂気+2HQで……いくつだったっけ、185とかその辺だったはずだ。(適当。
プロボを入れて、バッシュバッシュバーッシュッ。Int14振りの恩恵は大きい。……なんで90台まで俺はInt1でやってきたんだ、馬鹿馬鹿しい……と思えてしまうほど、Bless込みで24になるInt14振りに、Magniの掛った状態のSP回復力は、Int1慣れしてる俺にとってはすさまじい。SP管理どうこう、といった話は、Int1で90台まで切り盛りしていた俺にとっては、Int14になった今、気にするまでもなく何とかなってしまうものなのだ……。幾度か稀唯さんに『SPだいじょぶですかー?』と聞かれたが、精々、常時2HQ、ロリマダにプロボ10、とりあえず会う敵にバッシュ、緊急時にBB、ぐらいしかSPを使っていなかったので、枯渇する心配を殆ど感じなかった。尤も、枯渇しそうになったらバッシュの使用頻度を減らすことで簡単に調整が出来るので、非常に楽なものだが。
バッシュの多用は、恐らく今だから出来る事。今しか出来ない、とまでは言わないが、転生したらオーラコンセの維持だけでかなりのSPを要求されるし、緊急時にはパリィを張るSPを残しておかなくてはならないだろうし、他にも転生前から存在する2HQだって当然かけ、やっぱり囲まれたらBBを撃つわけで、バッシュにばかりSPを割くわけにもいかなくなることは目に見えている。その分、通常攻撃による威力は増すわけで、バッシュに頼る必要も薄れてくるのかも知れないが……。まぁ、別に転生しても、オーラコンセに固執せずにバッシュを使ってもいいし、SPの余裕を見てはバッシュを撃ってもいいのだが、そういうことを言いたいのではなく、ええと。
バッシュの『多用』。なぜ俺が、そこに拘るのか。それは、転生後はSP管理の関係上難しくなることが、転生前ならSP管理にそこまで気を使わずにもできるから。転生後は多くの維持Skillによるパッシブ火力が非常に高い、では、転生前はSP管理に追われることなくアクティブ火力をガンガン使ってゆくことで、その差を少しでも縮められないか。そんな風に思うから。
フル支援(Aspeも含む)でロリにプロボ10を入れ、バッシュ10で3k強のDmgが出る。バッシュは、ほぼAspdと同じくらいの速度で連打できるSkillだ。単体相手のSkillだと単純なDmg効率だけ見ればBB10の方がSP効率も実は良いのだが、バッシュの方が連打も利くし、もしスタンさせられれば僅かの間とは言え敵を無力化できる。そして、Agi両手騎士にはその間に何発も攻撃を叩き込むだけのAspdもある。
ここではバッシュについてばかり語っているが、狩り中にはBBの話ばかりしていた。ガーターゾーンは/whereで確認できる座標が40の倍数とそこから+5までの範囲、とかいう机上の知識から、実際どの辺りがBBガーターゾーンでヤバいのか、とかいう実戦的(?)なことまで。
BB中は攻撃しない方がいいでしょうか、と聞かれた時、俺は正直焦った。殴りPriと組むのは初めて、BBを習得してから他の前衛がいるPTで戦った経験も稀。BBを撃つ時に、側に後衛や支援がいると、タゲが流れる恐れがあるので怖いと思うが、殴りPriは支援寄りの前衛、という認識をしている俺にとって、この質問は答えに窮するものであった。
実際問題、俺はソロでは敵をその状況で出来る限りしっかり纏めるまでBBは撃たない。撃ち漏らしたら勿体無いし、ソロではSP回復力が2段階落ち、SP回復頻度が半分になるから、以前より断然楽になったとは言え、SP管理も結構意識する問題ではあるのだ。
でも、ソロでのBBは『沸き過ぎ』だから使うという点では同じだが、なんだか感覚的には違うというか。一発撃ってはちょっと引っ張って、を無意識にやるが、それを人と一緒に狩りするときにやるのが、どうもまだ無意識にはできない。ごり押しのBB連打でも、BlessとMagniのおかげでSP的には何とかなってしまうだけに、もう少しスマートに確実に沈めることも身に着けたい。
言いたいことが纏まっていない状態で書き始めるから何を言っているか自分でも良く分からなくなるのだが、要するに、ペアでのまだ洗練されていない俺のBBの際に、稀唯さんが殴っているとやり辛いかどうか、考えてみると。寧ろ俺としては助かるのではないか、という結論に達した。BBを撃っている間はDefが減っているわけだし、囲まれ判定を減らしてくれるのは嬉しいし、そもそも俺が全敵に連鎖させることが出来ていないのだから、それなら1体確実に殴ってDmgを与えていてくれた方が助かるのだ、と。そこまで気付くのに一晩かかった。
なんだか自分のSkillの話ばかりをしているが、それは稀唯さんの動きに粗が無かったからで、狩りに出かける前に『相方以外の人と組む経験がほとんど無かったのでPスキルがあるかどうか不安』と言っていた人の動きとは思えなかった。というか、考えてみれば、それだけ長い間『Agi両手騎士』とペア狩りを続けてきたのだ。Agi両手の痒い所に手が届くようになっているのも必然の帰結だろう。尤も、努力無しには得られないことであるために、『当然の帰結』とは口が裂けても言わないが。
殴りと組むと二人でもこんなにDmg滝が作れるんだなぁ、と思うと、楽しかった。とか、そんな余裕の台詞を残せてしまうほどに、危険を感じない狩りだった。何せ、夕方のニブルは人が比較的多く、敵に会うより人に会う方が多いくらいの場所になっているので、一言で言うとその場にいる人の数に対して湧きが甘いのだ。
決壊PTに遭遇すること、1度。……決壊PTに遭遇する状況って、こんなにのんびりしていても大丈夫な状況だったっけ……。と、拍子抜けしてしまった。勿論、俺の力が向上したとかではなくて、稀唯さんの立ち回りのお蔭なのだが。ここで、大見得切って俺の力だ、と言えるほど、俺は自分を過信できるだけの力を、まだ持っていない。
大きな反省点は一つ。稀唯さんがしっかりと話を、興味深そうに聞いてくれるものだから、理論先行型の俺はやたらリクツを語ってしまったこと。……迷惑がられていなかったろうか、とそれだけがやたらと不安……。
あと、小さな反省点は数知れないが、そのうちの一つに、『稀唯さんと狩りに行くまでに仕込んでおく予定だったネタを仕込み忘れたこと』がある。地味に痛い。
そういえば、ふと思い出す。昔、転生したいと言っていた『彼女』に、何故転生したいのかと訊いた時に返って来た、台詞を。『赤い衣装を翻し、支援をやりながら前衛もこなす、そんな姿に憧れるから』、と。……支援殴りHighPriになりたいのか、と思った覚えがある。……いつか、『彼女』と狩りに行くことが、あったら。その時には今回の、稀唯さんとの狩りの経験が役立つだろうか。
この先、俺が転生してLKになり、今の俺を上回る力を得るまでには、まだ膨大な時間が必要だろう。だが、俺は。俺の力で、『彼女』のAgi騎士嫌いを払拭できる、その日まで。努力を惜しむ心算はない。そして、今の俺には、今の俺だからこそ出来る事が、きっとある。常に、その瞬間その瞬間で最高の選択肢を選び、最高の結果を手にすることが出来る者でありたいものだ。目指す高みは、未だ、遠い。